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かわさき文学散歩・川崎地域史関連ガイド

かわさき文学散歩

川崎が小説などの舞台として描かれている作品を紹介します。

かわさき文学散歩 〜ミステリー小説の舞台を探る〜

※シリーズ・出版社・出版年は一例です。他のシリーズ・出版社・出版年で別に出版されているものもございます。

タイトル 著者 出版社 出版年 掲載ページ 内容 川崎に関する記述
犯人に告ぐ〔1〕 雫井脩介/著 双葉社 2004.7 P.94から全編、P.141 連続児童殺人事件。姿が見えぬ犯人に、警察はテレビ局と手を組み対峙する。史上初の劇場型捜査の結末は―。 宮前警察署が舞台、麻生区王禅寺、宮前区犬蔵、神木本町、多摩区南生田が事件現場。川崎区東田町の地名も登場。
永遠の仔 天童荒太/著 幻冬舎 1999.3 上P.27 霧の霊峰で一人の少女・久坂優希と二人の少年が起こした聖なる事件。その秘密を抱えたまま別れた三人が、17年後再会した。過去を探ろうとする弟の動きと殺人事件の捜査によって彼らの平穏な日々は終わりを告げる。 成人後の主要人物3人の勤務地が幸区。1人の居住地が武蔵小杉駅近辺。川崎駅東口ホテルや、武蔵小杉駅前総合病院、府中街道も登場。
キャラクターズ 東浩紀/著 桜坂洋/著 新潮社 2008.5 全編 実在の批評家・東浩紀をキャラクター化した小説。キャラクターの東が記したという設定で、虚構的な文芸書評を展開し、「批評」のキャラクター小説化を実現。 ラゾーナ川崎を舞台に物語が展開する。ラゾーナまでの道中で多摩川大橋や御幸公園も登場する。
魍魎の匣 京極夏彦/著 講談社 1995.1 P.218 『匣の中には綺麗な娘がぴつたり入つてゐた』―。少女誘拐事件、バラバラ殺人事件、謎の新興宗教「御筥様」…複雑に絡み合った謎を解くのは、「憑き物落とし」京極堂。百鬼夜行シリーズ第二弾。 ばらばら死体の右腕の発見現場が登戸。
P.221,P.283 4人目の被害者の居住地は川崎。
P.488 登戸の陸軍研究所にふれている。
愛と幻想のファシズム 上 村上竜/著 講談社 1987.8 P.86 カナダでハンターをしていた鈴原冬二が独裁者として頭角を現し、独自の弱肉強食の狩猟原理を解いて最終的には実質的な日本の独裁者になるまでを描いた政治経済小説。 川崎労働者委員会テル・ケル派が主催する人形劇団が登場。
あなたの魂に安らぎあれ 神林長平/著 早川書房 1983.1 P.11 核戦争で放射能に汚染され、人間たちが地下空洞都市に閉じ込められた火星に生きる主人公は、夢の中でまったく他人の人生を生きる。 主人公おれは川崎のニムコ研究所に顔をだす。
火事と密室と、雨男のものがたり 浦賀和宏/著 講談社 2005.7 P.8 女子高生の首吊り死体が発見され、無差別放火事件が連続する。事件を調べるうちに、ある1人の男に辿りつくが…。 主要登場人物川崎市立商業高校生、川崎市立工業高校生。
神々の銃弾 佐伯泰英/著 祥伝社 2006.6 P.26,38,48 射殺事件で家族を失った12歳の少女、舞衣。彼女はそのまま失踪、そしてモデルガンショップに本物の拳銃をも持ち込んでいるという。彼女を助けようと足取りを追う刑事根本、復讐を誓う舞衣、やがて二人は強大な権力に立ち向かうことに。 事件が起きた舞衣の自宅は武蔵小杉近くの団地。中原警察や丸子橋も登場。
半島を出よ 上 村上龍/著 幻冬舎 2005.3 P.16 2011年財政が破綻し世界から孤立化していた日本。北朝鮮のコマンドがプロ野球中の福岡ドームを占拠、続いて特殊部隊が襲来、朝鮮反乱軍を名乗り福岡を日本から独立させると言う。無策の政府、それに対し暗い過去を持つ少年達が反乱軍を打倒すべく動き出す。 物語は東名高速川崎インター付近の緑地公園から始まる。
神はサイコロを振らない 大石英司/著 中央公論新社 2004.12 P.97,102ほか 行方不明だった旅客機が10年の歳月を超え忽然と現れた。再会する者たちの喜びと惑い、10年という歳月は家族に大きな変化をもたらしていた。限られた再会の時間の中で彼らはどのように生き何を求めるのか。 乗客の一人、5歳の黒木亮の父親は行方不明となっていた。川崎市役所に勤める二人の職員がホームレスとなっていたこの子の父親を探しだす。
欲望 小池真理子/著 新潮社 1997.7 P.118 三島由紀夫邸を寸分たがわず模倣した奇妙な館の落成パーティが四人の運命を手繰り寄せた。交通事故で性の喜びを閉ざされた美青年と館で再会した三人の男女のそれぞれの性、それぞれの愛、そして死の翳り。 川崎市多摩区のはずれ、宮前区との境に建てた家が舞台。生田緑地、鷺沼、宮前平、川崎インターチェンジなどが出てくる。

かわさき文学散歩 〜明治から昭和初期の川崎風景〜

古くから盛んだった「川崎大師」への参詣、田園風景を求めて移り住んだ作家たちの見聞など、明治から昭和初期の川崎の情景を描いた作品をご紹介します。 現在との移り変わりなどが感じられます。

※シリーズ・出版社・出版年は一例です。他のシリーズ・出版社・出版年で別に出版されているものもございます。

タイトル 著者 出版社 出版年 掲載ページ 内容 川崎に関する記述
江戸東京《奇想》徘徊記 種村季弘/著 朝日新聞社 2003 P.40 博覧強記で知られる著者が30の街を紹介。江戸や明治を偲ばせる、町の姿を案内。「川崎・大師河原の水鳥(すいちょう)の祭り」の魅力について語っている。 大師河原の水鳥の祭りには有名な別名(酒合戦)がある。巻末には奈良茶飯の浮世絵や祭りの写真が掲載され、その様子がうかがえる。
エピキュールの丘 河上徹太郎/著 大日本雄弁会講談社 1956 P.225ほか 柿生に在住していた著者による随想集。親交のあった小林秀雄、井伏鱒二、吉田健一などのエピソードを紹介し、文壇の交友録としても楽しめる作品。 柿生の鳥猟や風物の項もあり当時の地域の様子がうかがえる。
エルギン卿遣日使節録 (新異国叢書9) 〔ローレンス・オリファント/著〕 岡田章雄/訳 雄松堂書店 1978 P.174 イギリスの旅行家であった著者が、題にあるエルギン卿(日英修好通商条約締結の外交官)の私設秘書として来日した際の記録。 1858年8月24日に大師参詣をしており、外国人の視点による当時の情景がよくわかる。川崎大師へ遠乗りに出かける記事もあり。
修学旅行の記(芥川龍之介全集21) 芥川龍之介/著 岩波書店 1997 P.25〜 龍之介が東京府立第三中学校1学年のとき、大森・川崎方面に修学旅行をした時の作品。 川崎大師に参詣し、「参詣人引きもきらず」とその賑わいの様子を記述している。参詣後、川崎停車場から帰宅した。
水曜手帖(昭和15年11月)(柳田國男全集30) 柳田国男/著 筑摩書房 2003 P.343〜 國男が時間の取れた水曜日に、近郊を巡った時の思索をしたためた随筆。神奈川新聞に掲載されていた連載随筆をまとめたもの。 昭和15年当時の麻生区王禅寺の農家や寺の描写がある。また、柿の「禅寺丸」の名の由来について触れた記事もある。
断腸亭日乗 (大正13年12月29日)(荷風全集21) 永井壯吉(永井荷風)/著 岩波書店 1993 P.301 荷風の大正6年から昭和34年の死の前日までの日記。激動期の日本の世相とそれに対する批判を、詩人の季節感とともに綴っている。 大正13年12月春のように暖かい日の午後、荷風がふらりと川崎大師に参詣した時の日記である。川崎大師参詣後、塩浜の海辺まで歩いた時の様子が記述されている。
ちいさい隅 大仏次郎/著 六興出版 1985 P.7〜、P.182〜 新聞の連載随筆をまとめた1冊。収録の「つきかげ」「夏休み」は、川崎に母の実家があった大仏が夏休みに訪れた当時の思い出や、川崎の様子を綴った一遍。 祖母の家が堀之内にあり、当時の川崎は宿場町としての用がなくなり、かえって寂れていた様子。また、東海道から横路地に入るとすぐに畑で、農家が散在していたという。
痴人の愛(新潮文庫) 谷崎潤一郎/著 新潮社 2003 P.263 質素で凡庸な田舎育ちの河合譲治は、ナオミという15歳の美少女に出会う。理想的な女性に育て、いずれは妻にしようと考え二人で暮らし始めるがやがて2人の関係は逆転、譲治はナオミに翻弄されてゆく。谷崎が私小説と述べた作品。 譲治と同じように彼女に魅かれていた知人と2人、鍋をつつきながら話をする場面で、川崎の肉屋が登場する。
停車場(日本プロレタリア文学集16) 中野重治/著 新日本出版社 1984 P.100 東京駅から桜木町へ向かう列車の片隅で一組の男女が並んで腰かけ話しをする。女は「三・一五事件」で潰された組合の再建のため闘っている弟を訪ね、東北の婚家を出てきていた。偶然車中で会った男の話から、労働者の闘いの現実が浮彫りになる。 川崎を列車が通るとき、このあたりは関東地方最大の工場地帯だと説明されている。
田園の憂鬱(岩波文庫) 佐藤春夫/著 岩波書店 1951 P.110〜 都会の息苦しさを逃れて寒村に移り住んだ青年の心象を描いた散文作品。 著者の居住した柿生に近い農村が舞台となっている。風物の牧歌的な美しさが青年の鋭敏すぎる感受性を通して描かれる。 王禅寺近辺で見かけた糸とり娘の姿、王禅寺で飼われていた犬のエピソードなども触れられている。
都築ケ岡の風物(ふるさと文学館17) 河上徹太郎/著 ぎょうせい 1993 P.583 著者の居住した柿生、片平の風物を主題とする随筆。 舞台を同じくする佐藤春夫の『田園の憂鬱』を引用・紹介しつつ、都筑ヶ岡と呼ばれた丘陵の魅力や、二匹の猟犬を伴う狩猟の様を中心に生き生きと描く。 王禅寺に由来する「禅寺丸」など川崎の産物にも触れる。
東京新繁昌記(新日本古典文学大系 明治編1) 服部撫松/著 岩波書店 2004 P.62 新橋駅の描写に始まる鉄道(蒸気機関車)の説明、および車中の人々の様子を、独特のリズムを感じさせる文章で生き生きと描写した作品。 「新橋鉄道」と題して、新橋から川崎を経由して横浜に至る鉄道について書かれている。川崎大師に参詣する老婆と、その孫と見られる娘のエピソードもある。
年月のあしおと(講談社文芸文庫) 広津和郎/〔著〕 講談社 1998 下P.150 野間文芸賞および毎日出版文化賞を受賞した、著者晩年の自伝的な文壇回想録。 主に大正から昭和にかけての時代風俗や、親交があった作家たちの風貌を伝える。 関東大震災の夜に徒歩で通過した川崎で、街道筋の藁葺き屋根が落ちていたとの記述がある
百鬼園日記帖(内田百間全集  3) 内田百間/〔著〕 講談社 1979 P.386 大正6年から大正11年にかけての日記。祖母や子供たちが体調を崩すたびに医者を呼びつけ、看護婦を雇い、借金を重ねるなど、悩みの絶えない百鬼園先生の日常が綴られている。 大正8年4月13日、妻と子供たちをつれて川崎に遊びに行き、そばやで昼食をとって帰ったことが書かれている。
文明病患者(現代日本文学全集70) 武林無想庵/著 筑摩書房 1957 P.149-153 医者から気の病と診断され、読み書きを禁止された夢想庵が、友人の辻潤を飲みに誘うため川崎に訪れた際の、著者の内的記録。 その場で知り合った30歳くらいの文士と川崎で酒を飲み、留守だった辻潤の代りに彼を誘って川崎から銀座へ飲みに行く、という場面が描かれる。川崎の労働者の宿泊所のことにも触れている。
武蔵野(岩波文庫) 国木田独歩/作 岩波書店 2006 P.28〜 武蔵野の趣き、季節によって姿を変える落葉樹の風景の美しさを、自身の日記、友人からの手紙、ツルゲーネフが樺の林を描写した文章などを引用しながら、当時の話し言葉で表現した短編。 友人からの手紙の中に武蔵野の範囲について考えを述べている一節があり、丸子、登戸、二子などの地名が挙げられている。
めし(新潮文庫) 林芙美子/著 新潮社 1954 P.194, P.204〜 著者の代表的長編小説。親を捨てたような形で結婚したにもかかわらず、初之輔との夫婦生活に倦怠を感じている三千代。奔放に生きる姪の里子の来訪によって、夫との関係はよそよそしさを深めていく。 著者が横浜市鶴見区矢向に住んでいたことがあり、川崎の駅前大通の描写や、職安の前を歩いたなどの記載がある。
野心(荷風全集2) 永井壯吉(永井荷風)/著 岩波書店 1993 P.15 簑島光太郎は老舗の半襟問屋の若旦那として、財産の全てをつぎ込み新たな事業を興そうとしていた。その野心のため老舗を守ろうとする母親・親族と対立し、妹に思いを寄せる奉公人をも放逐。が、商会開店の直前、光太郎に商会放火の報が入る。 鉄道にて川崎を通過した際の、車中風景や窓外風景が描かれる。
忘れえぬ人々(明治の文学22) 国木田独歩/〔著〕 筑摩書房 2001 P.52 “忘れえぬ人”とはどのような人物だろうか。多摩川に近い宿屋亀屋において、偶然となり合わせた若い文学者と無名の画家が話をする。文学者にとっての“忘れえぬ人々”が語られていく。 溝口付近、現在は失われた亀屋が舞台。島崎藤村の揮毫による石碑が、旧亀屋前にあったが、現在は高津図書館前に移設されている。
半七捕物帳 巻の四 「大森の鶏」 (光文社文庫) 岡本綺堂/著 光文社 2001 P.361〜362 人気シリーズの時代小説。大師参詣の帰りに半七は見覚えのある女と渡し船で同乗し、道中の茶屋で女が鶏に襲われるのを目撃する。鶏の執拗な攻撃を不審に思いその謎解きに乗り出すと…。 半七は川崎大師へ毎正月参詣しており、「昔(江戸後期)と今(明治)では参詣の様子が変化した」と語る。11代将軍が参詣してから庶民の川崎大師参詣が盛んになり、汽車ができた明治には参詣者がより増えたなど、史実に即した川崎大師の描写がある。

川崎地域史関連ガイド

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