かわさき図書館だより 第63号 令和6年2月15日発行 目次 p1 報告 町田樹氏読書普及講演会 p2 図書館アプリ・「予約かご」「お気に入り」ってなに? p3 追悼山田太一さん・多摩区講演会 p4 読書のまち・かわさき読書活動優秀団体・フロンターレ選手と本を楽しもう!・各館情報 報告 町田樹氏読書普及講演会令和6年1月28日(日)高津市民館大ホール 「本と生きる、本を書く」 今年度は國學院大學助教で元フィギュアスケート選手の町田樹氏にお越しいただき、3つのテーマで講演いただきました。 「本と私」 本を好きな理由、好きなジャンル・作家、本の選び方、影響を受けた本等を解説され、 自身を「登場人物のキャラクターのるつぼ」と分析。 印象的なエピソードは、小学生の頃、入浴中のお母様に向けて毎晩行っていた「お風呂前正座音読」。 想像力を働かせながら登場人物になりきって音読する町田少年の姿が目に浮かぶようで、 静かながらもユーモアたっぷりな語り口に、会場は笑いに包まれました。 「私のフィギュアスケート作品と本」 文学とフィギュアスケートとの深い関係、「アダプテーション=翻案」について触れられ、 自身が初めて振付をされた『白夜行』の演技を上映。 原作とは異なり、主人公の善悪に揺れ動く心情を直接的に描写、 激しい感情をスピードのあるスケーティングという「ジャンルの強み」で表現するという演目。 町田氏の演技を目で追いながらも同時に主人公の感情を想像する稀有な時間となり、 文学を翻案する創作活動の無限な可能性を教えてくださいました。 「本を書く私」 現在の執筆活動と出版の重要性について述べられました。 論理破綻せず長文を執筆する作業は「険しい山を登るかのよう」で、 論文採択まで繰り返し「査読」が行われ練り直すという過程を経て、ようやく採用・掲載されると説明。 本は多くの専門家に厳しくチェックされ「信頼性が高く」「リーズナブル」「公共性の高い」 極めてユニバーサルなメディアであると主張。 ひいては読書離れや出版不況は、今後の世の中の言論活動や芸術活動にも 影響を及ぼす重大な問題であると提起され、講演は終了しました。 その後の質疑応答では質問が途切れることが無く、来場者と町田氏との温かいやり取りで、 会場内の熱気は冷めることはありませんでした。 講演会を終えて 講演後のアンケートは「本の存在意義を思い出す」 「全身を耳にして聴くほど非常に引き込まれる」 「まだまだ引き出しがありそうな町田さんの講演をまた聞いてみたい」 「こんなに語彙が豊富で豊かな情緒が形成されるのならもっと本を読まなければ」等、大好評でした。 昨夏、本と共に生きてこられた町田氏に講演の依頼をさし上げた際、 「本離れに意義のある企画」と、即、快諾いただいたことに感謝すると同時に、 図書館職員として改めて身が引き締まる思いをしました。 川崎市立図書館では、引き続き幅広い方々に図書館と本を活用していただけるよう講演会を開催してまいりますので、 今後ともご期待ください。 講演で紹介された本 『ソメコとオニ』 斎藤隆介作 滝平二郎絵 岩崎書店発行 恐ろしいオニにさらわれたソメコ。 ところがソメコは怖がるどころか「かくれんぼをしよう」「おにごっこをしよう」とねだってオニを翻弄します。 たまりかねたオニは…。 国語の教科書にも採用されている作品で、「何度も朗読しているうちに、 『物語の中に入り込み、登場人物の気持ちを追体験する』という 読書の楽しさに気付くきっかけとなった作品の一つ」と語られていました。 『白夜行』 東野圭吾著 集英社文庫発行 ある未解決殺人事件の被害者の息子と容疑者の娘。 全く別々の道を歩いている二人の周囲で次々に起こる犯罪は果たして過去の事件と関連があるのか。 19年間事件を追い続ける刑事をはじめ、周囲の人々の視線を通して主人公二人の言動が語られていて、 作品中には本人たちの心理描写が無いことから、 この主人公「桐原亮司」の心情を「一人称で」表現することをテーマにして自身の作品を作られた、とのことでした。 便利!手軽!図書館アプリ 図書館カードとしてバーコードを表示!カード忘れの心配が無くなります 図書館ホームページにもすぐにアクセス!蔵書検索・予約がアプリ画面から行えます プッシュ通知でお知らせを漏れなくキャッチ!予約のご用意の有無やカードの有効期限がすぐにわかります 貸出中の資料のデータを読書記録として児童で保存・編集できます ぜひご利用ください!アプリのダウンロードは図書館ホームページから https://www.library.city.kawasaki.jp/contents?1&pid=1982 みなさまの質問から 「予約かご」・「お気に入り」ってなに? 「予約かご」 資料をまとめて予約できるようにしたシステムが「予約かご」です。 1冊だけの予約でも、まずは「予約かご」に資料を入れてください。 「予約かご」に入れただけでは予約は完了しておりませんので、 「予約かご」ページの 一番下にある「チェックした資料をすべて予約登録する」ボタンを必ずクリックし、 予約完了画面が表示されるのをご確認ください。 「予約かご」に入れた資料が消えてしまった! 「予約かご」に入れたままの資料は、ログアウトすると消えてしまいます。 また、30分放置すると自動的にログアウトしますので、「予約かご」の資料は消えてしまいます。 保存しておきたい資料は、「お気に入り」登録をお願いします。 「お気に入り」 「お気に入り」は登録件数の上限は無く、ご自身が削除しない限り登録した資料はそのまま保存されます。 いますぐ予約しないけれどメモしておきたい資料は、「お気に入り」ボタンで保存しておくと、 後日「お気に入り」一覧から予約かごに入れることもできます。 アプリのこと、ホームページのこと、わからないことがあれば、お近くの図書館へお気軽にお問い合わせください 追悼 山田太一さんを偲んで 川崎市高津区に長らくお住まいであった脚本家の山田太一さんが、令和5(2023)年11月29日に御逝去されました。 数々のテレビドラマや舞台の脚本を手がける傍ら、小説家としても活躍され、 人の心を丁寧に描いた作品で、多くの人に感動を与えていただきました。 また、多摩川を舞台としたテレビドラマをはじめ、川崎市内がしばしば登場するエッセーなど、 同氏の作品には市民にとってなじみのある情景が多く描かれているとともに、 川崎市名誉文化大使として本市のPRや魅力の発信に御尽力いただくなど、 本市の文化芸術の振興に多大な貢献をいただきました。 川崎市立図書館においても、講演会での講師をたびたびお引き受けいただくなど、 読書普及活動の推進に多くの御支援と御協力をいただきました。 特に、平成25(2013)年開催の読書普及講演会では、「今ここで生きているということ」と題して、 数人の詩人の詩などを紹介いただきながら、松竹時代の失敗談や本との関わり、 「言葉」に対する想いなどを語ってくださいました。 御本人のお人柄を表すかの様に穏やかな口調でありながら、 とても強い意志が伝わってくるお話に聴衆は引き込まれていました。 多くの「言葉」を残してくださった、これまでの御功績に対して感謝申し上げますとともに、 謹んで心より御冥福をお祈りいたします。 平成25年講演会より 「私たちは本当のことから逃げて、それに近い言葉を使って生きているところがあるのじゃないかと感じているんですね。 でも、それで生きやすくなっているのかもしれない。 私たちは現実だけでは怖くて生きていけないんですね。」 「順調だけの人生はない。マイナスだと言われているものが、 実はものすごく豊かなものを持っているのではないかという風に思うことはできないか、って思うのですね。 マイナスと思っていたものを改良していくうちに、そのマイナスの良さみたいなものがつぶれていってしまう。 無くなってしまう、ということもあるということを、もっといろんなかたちで語ってもいいじゃないかなと思うのですね。」 「決まり文句でかたづけないで、少し立ち入って考えなきゃいけないと思います。 なるべく安っぽい言葉、僕も言っちゃいそうだけど、そういう言葉じゃないもっと踏み込んだ世界は、 ただ周辺を見ていても、自分の考えだけでは無理なのではないかと思う。」 山田太一さんに興味を持ったらこれを。 KAWADE夢ムック『山田太一 – テレビから聴こえたアフォリズム』 河出書房新社編・発行(2013) 作品一覧はもちろん、インタビューや対談、オススメ映画・本の紹介など山田さんをつくりあげたものがわかります。 ジェーン・スー講演会 『私らしさは誰のため?』 多摩区文化協会・多摩図書館が共催する「第24回読書普及文化講演会」に、 毎日新聞の人生相談や雑誌AERAの連載等で活躍中のコラムニスト・ラジオパーソナリティ、 ジェーン・スーさんを講師にお迎えします! 日時  令和6年4月26日(金) 午後6時30分~午後8時  場所 多摩市民館大ホール(川崎市多摩区総合庁舎2階) 定員 900名 定員を超えた場合は抽選 申込みは令和6年4月5日(金)までに次のいずれかの方法で インターネット https://www.city.kawasaki.jp/880/page/0000156888.html もしくは往復はがき 郵便番号・住所・氏名・電話番号・希望の人数(はがき1枚で4名まで)をご記入の上、 郵便番号214-8570(住所不要)多摩図書館内「ジェーン・スー講演会」係までお送りください。 問合せ 川崎市立多摩図書館 電話044-935-3400 読書のまち・かわさき読書活動優秀団体に選ばれました 中原図書館で活動している『ジェリービーンズ』、川崎図書館で活動している『セロの会』が選ばれ、 11月5日に行われたかわさき読書の日のつどいで表彰されました。 両団体とも、図書館でのおはなし会に工夫を凝らし、子どもと絵本との出会いの場をつくり、 読書の楽しみを伝えてくださっています。 これからも子どもたちと楽しいおはなし会を作っていっていただければと思います。 読書のまち・かわさき フロンターレ選手と本を楽しもう! 「フロンターレ選手と本を楽しもう!」イベントを開催しました。 会場は昨年度と同様、グランツリー武蔵小杉で開催し、たくさんの方々にお越しいただきました。 今年度は、川崎フロンターレのクラブキャッチフレーズが「Exceed_」ということで 「挑戦」を題材にした絵本、「はっきょいどーん」(講談社)と「どうするティリー?」(あすなろ書房)の2冊を 佐々木旭選手に読み聞かせて頂きました。 かわさき図書館だより第63号 令和6年2月15日 編集・発行 川崎市立図書館企画委員会・川崎市立中原図書館 郵便番号211-0063  川崎市中原区小杉町3-1301  電話044-722-4932 川崎図書館 電話200-7011 幸図書館 電話541-3915 高津図書館 電話822-2413 宮前図書館 電話888-3918 多摩図書館 電話935-3400 麻生図書館 電話951-1305 大師分館 電話266-3550 田島分館 電話333-9120 日吉分館 電話587-1491 橘分館 電話788-1531 柿生分館 電話986-6470  菅閲覧所 電話946-3271 各館記事 川崎図書館 まちに飛び出す図書館 11月18日(土)に教育文化会館で4年ぶりに『川崎区社協福祉まつり』が開催されました。 川崎図書館では毎回、川崎区社協福祉まつり内で『おはなしキャラバン』を実施しています。 『おはなしキャラバン』は川崎図書館と大師・田島の両分館で活動するおはなしボランティア合同で行うおはなし会です。 このように図書館ではいろいろなイベントで出張おはなし会やリユース本配布会を行っています。 幸図書館 日吉郷土資料コーナーの御紹介 幸図書館日吉分館のロビーには、地元の郷土史会の御協力による常設の日吉郷土資料コーナーがあります。 日吉郷土資料コーナーには、日吉地区のパノラマ展望図やジオラマ、 加瀬山の白山古墳から出土した国宝「秋草文壺」や「三角縁神獣鏡」を始めとした副葬品・古民具の紹介をしています。 見応えのある展示となっておりますので、幸図書館日吉分館にお越しの際はぜひ御覧になってみてください! 中原図書館 図書館で地震に遭ったら… 本棚やガラス窓から離れてください。 動けない場合でも、持ち物などで頭を守り身を低くして揺れがおさまるまで身の安全を確保してください。 閲覧席にいる方は、机の下に入って身の安全を確保してください。 エレベーターは利用しないでください。閉じ込められる恐れがあります。 停電になっても、一定時間、誘導灯や非常灯が点灯します。 あわてずに職員の指示に従い、落ち着いた行動をお願いします。 東日本大震災(2011年)の際、川崎市立図書館でも、多くの本が落下したり、設備類が壊れたりする被害がありました。 来館の際、今、地震が来たらと考えてみてはいかがでしょうか? 中原図書館では2月18日まで特集コーナー『震災を考える。』を設置しています。 高津図書館 旅行ガイドを見直しました。 新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響により、旅行ガイドの出版状況も大きく変化しました。 そこで高津図書館では新刊本を新たに受け入れるなど旅行ガイドの蔵書を大幅に見直しました。是非ご利用ください。 現在、高津図書館で所蔵している主な旅行ガイドはつぎのとおりです。 国内・るるぶ情報版、ことりっぷ、てくてく歩き、ヤマケイアルペンガイド、地球の歩き方 海外・地球の歩き方、るるぶ情報版(新規追加)、ことりっぷ(新規追加) なお、最新の旅行ガイドは貸出中により書棚にない場合がありますので、図書の予約も併せてご利用ください。 宮前図書館 「メリットいっぱい。やってみよう!絵本の読み聞かせ講座」を開催 令和5年11月下旬から5回にわたり、概ね60歳以上のアクティブシニアの方たちが集まり、読み聞かせスキルを学び、 地域のボランティア活動につながるための講座を鷲ヶ峰地域包括支援センターと連携して開催しました。 参加者の皆さんは「あらためて絵本を楽しめた」、「地域の中で役立てることがしたい」など 様々な想いで参加されていました。 今後は宮前区菅生地区を中心に子ども文化センターやシニアサロンなどで、世代間が交流できる、 地域に根ざした活動が始まります。 多摩図書館 「手づくり絵本」を、展示します! 川崎市は、令和6年7月1日に市制100周年を迎えます。 市制100周年記念プレ事業として、「はじめての絵本づくり応援講座」が昨年10月から11月に全6回、 多摩市民館で開催されました。 こちらの講座で作成された22冊の絵本を、多摩図書館内の特集コーナーに展示します。 ご来館の際には、手づくり絵本を手に取ってご覧ください。 展示期間 2月8日(木)~26日(月) 場所 多摩図書館内特集コーナー 協力 多摩市民館 麻生図書館 柿生小学校150周年おめでとう! 麻生図書館柿生分館は、柿生小学校と公共図書館の複合施設です。 柿生小学校が、今年度開校150周年を迎えたのを記念して、柿生分館では、 柿生小学校の児童・先生と柿生分館のスタッフによるおすすめ本の展示を行いました。 飾りの柿の木や棚のたくさんのポップを見て、秋の読書を楽しむことができたと好評でした。