読書のまち・かわさき通信NO.105 2025年2月発行 川崎市教育委員会 第2回全市図書ボランティア研修会 1月7日(火)、中原市民館において第2回全市図書ボランティア研修会を開催いたしました。7月の第1回に引き続き、学校図書館におけるボランティア活動の充実をはかることを目的としています。今回は、絵本画家の黒井健氏を講師としてお招きし、「絵本の絵について~絵本の生まれ方~」と題してご講演いただきました。 講演では、はじめに「絵本画家は作家の言う通りに絵を描くと思われているが、それはちがいます。森と言われたときにイメージするものは異なる。主旋律が童話のテキストであるならば、その周辺のハーモニーに当たるのが絵であると思う。」という興味深い話をしていただきました。その後、黒井氏の代表作である『ごんぎつね』を完成させるまでのエピソードや〇(円)と△(三角)を使った動物の簡単な描き方、また絵本画家として作品を作る上で悩んだことや感じてきたことをお話しいただきました。さらに『手ぶくろを買いに』については、1977年と1988年に描いたものを比較すると、描き手の感じ方の違いや心の持ち様の違いがあることなどをユーモアを交えながらとても楽しくお話をしていただきました。最後に、黒井氏が手がけた作品を当時のエピソードとともに紹介していただきました。 絵本は子どもたちの想像力を掻き立てるもの。そして、子どもたちの想像を補うものです。改めて、絵本のすばらしさを確認できる素敵な会になりました。 講師紹介 講師:黒井 健 氏 <プロフィール> 新潟県新潟市生まれ、川崎市在住。絵本画家・イラストレーター。 新潟大学教育学部美術科卒業後、学習研究社幼児絵本編集部を経て、フリーに。以降、絵本・童話のイラストレーションの仕事を中心に活躍。2003年「黒井健 絵本ハウス」を開館。2010年新潟市立中央図書館こどもとしょかん名誉館長に就任。 主な絵本作品に『ごんぎつね』『手ぶくろを買いに』『ころわんシリーズ』などがあり、著書は300冊を超える。その他にも、カレンダーや装丁画、切手、雑誌、ポスターなどイラストレーターとしての作画も多岐にわたる。 講演参加者の感想(一部抜粋) ☆ご本人に会うことができて幸せです!直接お話を聞くことができて、本や絵の魅力がさらに増し、一文字一文字大切に読みたいなと思いました。 ☆幼少期から親しみのある絵をお描きになっている黒井先生のお話を聞くことができて良かったです。貴重なイラスト集を見せていただき感激しました。 ☆あっという間の90分でした。先生から、あふれ出てくるお人柄、体験等々、素敵で染み入るお話ばかりでした。 ☆普段、絵本画家の方の話を伺うことはほとんどないため貴重な機会になりました。絵を描く前の下調べを熱心にされたり、考えたりする謙虚な姿勢や仕上がった絵の美しさに感動いたしました。 ☆感動したのは『ごんぎつね』の誕生秘話を伺えたことです。「明るいかわいい」が当然の世界で全く新しい絵本が生まれたなんて素敵です。 キックオフ!“読書のまち かわさき” 「キックオフ!読書のまち かわさき」(リーフレット)の発行は2024年度で16年目となりました。 今年の川崎フロンターレのクラブキャッチフレーズが「Mind-1 NEXT 心ひとつに、その先へ」ということで、テーマを「川崎フロンターレの選手が仲間を大切にしたくなる本」とし、川崎フロンターレの選手が、子どもたちに読んでほしいおすすめの一冊を紹介しています。 リーフレットは、市立の小学校、中学校、高等学校、特別支援学校、各図書館や教育文化会館・各市民館に配付しました。 学校司書が全校配置になりました!  児童の読書活動の充実や学習支援の充実に向け、令和4年度には70校、令和5年度には92校に学校司書配置の取組を進めてきました。 そして今年度、全市小学校114校に学校司書が配置されました。学校司書が全校に配置されることで、学校における児童の読書活動をさらに推進していくことができたと思います。 今年度、全市立学校を対象に実施した「学校図書館等に関するアンケート」において、学校司書が配置されたことについての質問では、「学校司書配置により、子どもの読書の状況や環境に変化があった」と回答とした小学校は、9割に達しています。 図書館の環境整備やレファレンスサービスの他、教職員と連携した授業支援を行ったりするなど、一定の成果が出ているようです。 学校司書が学校図書館に常駐することで、子どもたちは学校図書館を身近に感じ、気軽に相談できているのではないでしょうか。次年度以降も、学校司書のさらなる資質の向上に向けて、学校司書研修会等を実施し、子どもたちの読書活動を支援していきたいと考えています。