川崎市立図書館 地域資料パスファインダー@ 二ヶ領用水 図書館で調べてみませんか! 【二ヶ領用水(にかりょうようすい)とは】 二ヶ領用水は、慶長16年(1611年)に完成した国内有数の農業用水です。 その名称は、江戸時代に稲毛領と川崎領にまたがって開削されたことに由来します。 開削から100年が経過した江戸中期には、老朽化が目立つようになり、「上河原取入口圦樋(いりひ)」や「久地分量樋」といった改修が行われ、明治42年(1909年)には流域面積が最大約2,850ヘクタールまでになりました。 昭和時代には工業用水としての役割も果たしたことのある二ヶ領用水も、最近では、自主的な清掃活動、樹木管理等により美観を保ちながら、市民の憩いの場として親しまれており、平成31年(2020年)3月には国登録記念物(遺跡関係)に正式に登録されました。 ★調べるための道しるべ★ 〜パスファインダーとは〜 図書館では、あるトピックを調べるために役立つ資料を、分かりやすく紹介したもの(パスファインダー)を作成しています。 探せない本や、わからないことがあったら気軽に川崎市立図書館登録・相談カウンターまでお尋ねください。 図書館で所蔵している本(資料)の紹介 二ヶ領用水は、測量が始まった慶長2年(1597年)から現在に至るまで、およそ400年を超える歴史があります。 その間には、用水開削、維持に伴う人々の苦労や、水が送られたことによる恩恵としての新田開発など、様々な出来事がありました。 ■全体を知る ◆『二ヶ領用水400年 よみがえる水と緑』 (長島保/監修 神奈川新聞社/発行 平成11年[1999年]) 二ヶ領用水の歴史についてこれまでの研究の成果を踏まえて書かれています。 また用水保全に活躍する現代のボランティアの様子まで書かれています。 二ヶ領用水の全体を知るなら、まずこの1冊をご覧ください。 ◆『二ヶ領用水』(川崎歴史ガイド) (川崎市文化財団/編・発行 昭和62年[1987年]) 市内各地(稲田堤から渋川まで)の二ヶ領用水関連の場所などを紹介したパンフレットです。 ◆『やさしい川崎の歴史』 (小塚光治/編 川崎歴史研究会/発行 昭和45年[1970年]) (※第4版[昭和58年(1983年)刊]、第5版[昭和60年(1990年)刊]もあります。) 小学校中学年以上の児童向けに書かれた川崎の歴史の本です。 本文中「Z 江戸時代の川崎」の中で二ヶ領用水について解説しています。 ◆『かわさき』(小学校副読本) (川崎市総合教育センター/編 川崎市教育委員会/発行 *毎年刊行) 小学校の社会科の副読本です。 二ヶ領用水について図入りで解説しています。 (二ヶ領用水については平成10年(1998年)版以後紹介内容が少し変わりました。) ◆『二ヶ領用水ものがたり 二ケ領用水竣工400年記念』 (川崎市市民ミュージアム/編・発行 平成23年[2011年]) 二ヶ領用水がどのように竣工されたのか、どのような歴史をたどって来たのかについて、絵図や文書を通して詳しく述べられています。 ◆『文化かわさき 第31号』 (川崎市総合文化団体連絡会/編 川崎市総合文化団体連絡会/発行 平成22年[2010年]) 「川崎と二ヶ領用水」が特集です。 竣工400年を迎えた二ヶ領用水の歴史資源のもつ現代的な意味が、都市景観や潤いのある生活環境という視点から問い直されています。 ■歴史・近世 慶長2年(1597年)、徳川家康の命により、代官小泉次大夫は用水の建設を始めました。 工事は困難を極めましたが、慶長16(1611)年、約14年間をかけて二ヶ領用水を完成させました。 60か村、2007町(約2,000ヘクタール)の水田に利用されました。 時代が100年余過ぎると、二ヶ領用水は堀が狭まるなど改修が必要な状態となりました。 川崎宿の名主などを務めた田中丘隅は、農村や宿場を観察し治政や社会の状況を詳細に綴り、幕政への提言をした書物である『民間省要(みんかんせいよう)』を著したほか、享保8年(1723年)には、江戸幕府から二ヶ領用水の川除(かわよけ)御普請(ごふしん)御用を命じられました。 ◆『人づくり風土記 14 ふるさとの人と知恵.神奈川』 (加藤秀俊/〔ほか〕編纂 農山漁村文化協会/発行 昭和62年[1987年]) 二ヶ領用水について、小泉次大夫、田中丘隅の活躍を通じて書かれています。 ◆『富士山宝永大爆発』 (永原慶二/著 吉川弘文館/発行 平成27年[2015年]) 田中丘隅は二ヶ領用水だけでなく、富士山宝永大爆発で荒れ果てた酒匂川の改修でも活躍しています。 このことについて、第9章「田中丘隅と文命堤(ぶんめいづつみ)」において触れられています。 ◆『地域史研究の今日的課題』 (中央大学人文科学研究所/編 中央大学出版部/発行 平成30年[2018年]) 論文「二ヶ領用水の展開と水争い」において、溝の口水騒動について詳しく述べられています。 ◆『登戸村用悪水出入 3』 (高津古文書研究会/編・発行 平成30年[2018年]) 稲毛川崎二ヶ領用水取水口の成り立ちに関することが、記述されています。 ■歴史・近代 二ヶ領用水は飲み水としても使われました。 また近代に入り、農業用水としてだけでなく、工業用水としても利用されるようになりました。 昭和16年(1941年)には、市内各所に水がいきわたるように高津区久地に円筒分水が作られました。 ◆『川崎市の水道』 (川崎市小学校社会科教育研究会/編 川崎市水道局/編・発行 平成24年[2012年]) 小学校の副読本です。 二ヶ領用水を飲み水として売った水屋のことが述べられています。 ◆『マイウエイ 95 400年の治水−川崎・二ヶ領用水をたずねて』 (公益財団法人はまぎん産業文化振興財団/編・発行 平成27年[2015年]) 400年の治水と題して、二ヶ領用水に携わる3人の人物(小泉次大夫、田中丘隅、平賀栄治)を中心に描かれています。 ■地域(多摩区、中原区の様子) ◆『あゆたか 第48号 二ヶ領用水竣工400年特集』 (稲田郷土史会/編・発行 平成22年[2010年]) 二ヶ領用水に関する多摩区内の写真や図が、分かりやすく掲載されています。 ◆『桃の花咲く二ヶ領用水』 (二ヶ領用水・中原桃の会プロジェクト21創立10年実行委員会/編  二ケ領用水竣工400年記念事業実行委員会/発行 平成23年[2011年]) 中原区にお住まいの方々の、二ヶ領用水に関する思い出が綴られています。 また、昭和60年(1985年)に二ヶ領用水を再生する市民の会が結成され、二ヶ領用水沿いに花桃の苗木を植樹したことが、記載されています。 ◆『なかはら 二ヶ領用水と昭和の風景』 (なかはら散策ガイドの会/編集 中原区役所/発行 平成23年[2011年]) 現在の中原区内の二ヶ領用水が、昭和の初めの頃にどのような様子だったかが、小学生向けに分かりやすく記載されています。 ■植物 ◆『川崎市青少年科学館紀要 第29号』 (川崎市青少年科学館/編集 川崎市教育委員会/発行 令和元年[2019年]) 論文「川崎市二ヶ領用水の沈水植物群落の環境について」は、二ヶ領用水内に繁茂している沈水植物の群落の調査結果をまとめています。 ■地図 ◆『二ヶ領用水散策マップ』 (二ヶ領用水竣工400年記念事業実行委員会/編  川崎市建設緑政局道路河川部河川課/ 発行 平成22年[2010年]) (※平成30年(2018年)に、建設緑政局総務部企画課から第5刷が発行されています。) 現在の二ヶ領用水は農業用水としての役割を終え、環境用水として保全されています。 市民が憩える散策路の整備も進んでいます。 この地図は、二ヶ領用水散策時にわかりやすいよう、写真とともに説明しています。 ■歴史・絵図 ◆『二ヶ領用水知絵図』 (川崎市建設緑政局計画部企画課/編・発行 平成23年[2011年]) (※平成30年(2018年)に、建設緑政局総務部企画課から第2刷が発行されています。) 絵図でとらえた二ヶ領用水の歴史(江戸時代後期の二ヶ領用水水路の構成図)が、分かりやすく解説されています。 ■落語 ◆『落語二ヶ領用水物語』 (清流亭いしあたま/著 まつ出版/発行 平成22年[2010年]) 二ヶ領用水を引いた小泉次大夫を落語で紹介しています。 用水の取入口をどこにしたのかということにも触れています。 ■現在のすがた 工業用水として使用され、一時は汚染のひどかったこともある二ヶ領用水ですが、現在では、市民が気軽に憩える水辺として再生されています。 ◆『二ヶ領用水と円筒分水 −時のランドスケープ展 報告書』 Vol.1、Vol.2 (川崎のまち資源を考える会/編・発行 平成17年[2005年]) 二ヶ領用水に関する年表が掲載されています。 各小学校が出した副読本や、市内散策の案内などにも多く紹介されています。 図書館ホームページ・館内検索機でニヶ領用水の本を探すには 図書館ホームページ・蔵書検索画面で二ヶ領用水の本を探すときは、「書名」および「件名」に次のキーワードを入れて検索してみてください。 「書名」=「二ヶ領(にかりょう)用水(ようすい)」 「件名」=「二ヶ領用水」「小泉(こいずみ)次大夫(じだゆう)」「田中(たなか)丘隅(きゅうぐ)(田中休愚)」「河川−川崎市」 インターネットで調べるには ●市内河川の見どころ(川崎市) トップページ>くらし・手続き>環境・河川・港湾>河川>河川の見どころ・イベント>市内河川の見どころ https://www.city.kawasaki.jp/kurashi/category/29-5-15-5-0-0-0-0-0-0.html ●かわさきの文化財(川崎市教育委員会) トップページ>生涯学習・文化財>かわさきの文化財>市内文化財案内>指定文化財紹介>建造物>二ヶ領用水久地円筒分水 https://www.city.kawasaki.jp/880/page/0000000312.html ●二ヶ領せせらぎ館(NPO法人多摩川エコミュージアム) http://www.seseragikan.com/ 関係のある施設 「二ヶ領せせらぎ館」 国土交通省の京浜工事事務所が、二ヶ領用水宿河原堰の管理所(河川管理施設)の一部を「二ヶ領せせらぎ館」として地域住民に開放しています。 館内には、多摩川や二ヶ領用水の自然と歴史に関する資料や宿河原堰の模型などが展示されています。 ■場所   川崎市多摩区宿河原1-5-1 ■交通案内 小田急・JR「登戸駅」多摩川口から徒歩10分、JR宿河原駅から徒歩15分 ■電話番号 044-922-1025 ■開館時間 10:00〜16:00 ※6〜9月の土・日・祝日=17:00まで ■休館日  毎週月曜日(祝日の場合、その翌日) 川崎市立図書館地域資料パスファインダー@ 第2版 二ヶ領用水 令和3年(2021年)3月発行 発行者:川崎市立図書館 地域資料担当者会議 【資料についての問い合わせ】 川崎市立中原図書館  電話番号:044-722-4932