川崎市立図書館 地域資料パスファインダーA 二ヶ領用水 久地円筒分水 図書館で調べてみませんか! [久地円筒分水とは] 所在地:高津区久地1丁目34番地 稲毛領、川崎領を併せて二ヶ領の耕地を潤した二ヶ領用水は、享保の頃、上河原・宿河原の二つの取り入れ口から引水され久地村に分量樋が設けられました。 ここから根方堀、久地堀、六ヶ村堀、川崎堀の各組合に属する村々に分水されるようになりましたが、水不足による争いも度々あり文政4年(1821年)には溝の口水騒動という江戸時代最大の水騒動が起こりました。 その後、土木技師・平賀栄治(ひらがえいじ)により昭和16年(1941年)に分量樋に替わる治水装置として円筒分水が設置され、各堀に一定の比率で分水できるようになりました。 平成10年(1998年)には川崎市で初めての国の登録有形文化財になりました。 現在の円筒分水は本来の役割を終え、周辺は地域コミュニティーの場となり市民ボランティアにより美化活動などが行われています。 ★調べるための道しるべ★ 〜パスファインダーとは〜 図書館では、あるトピックを調べるために役立つ資料を、分かりやすく紹介したもの(パスファインダー)を作成しています。 探せない本や、わからないことがあったら気軽に川崎市立図書館登録・相談カウンターまでお尋ねください。 図書館で所蔵している本(資料)の紹介 二ヶ領用水は、測量が始まった慶長2年(1597年)から現在に至るまで、およそ400年を超える歴史があります。 その間には、用水開削、維持に伴う人々の苦労や、水が送られたことによる恩恵としての新田開発など、様々な出来事がありました。 ■円筒分水をわかりやすく ◆『かわさき散歩―道と川と山の歴史をたずねてー』 (川崎多摩歴史研究会/編 川崎教育文化研究所/発行 平成15年[2003年]) P239〜243に「円筒分水」の項目があります。 久地円筒分水の歴史やしくみが写真や図とともに紹介されています。 小学生の高学年から中学生にも解るような記述になっており、入門編としてもおすすめです。 また、実際に歩いてみる時のガイドとしても役立ちます。 ◆『和の文化を発見する水とくらす日本のわざ 1』 (中庭光彦/監修 汐文社/発行 令和元年[2019年]) P34・35に水を公平にわける技術として円筒分水が紹介されています。 久地円筒分水のことが書かれている訳ではありませんが、円筒分水のしくみが図・写真を使って詳しく説明されており、各地で水配分をめぐる争いを解消するのに役立っていたことがわかるようになっています。 機能・つくりの美しさが評価され、土木遺産や歴史遺産になっているものもある事など、円筒分水についての知識を深めることができます。 ■久地円筒分水について ◆『全国円筒分水サミット 開催報告ブックレット』  (第1回全国円筒分水サミット実行委員会/編 高津区役所/発行 平成23年[2011年]) 平成23年(2011年)1月に開催された円筒分水サミットの記録集。 シンポジウムの様子が写真や図を使い収録されており、円筒分水の情報がわかりやすく解説されています。 全国の円筒分水も写真と地図で一覧になっています。   ◆『かわさきの文化財入門 上』 (教区委員会生涯学習部文化財課/編 川崎市教育委員会/発行 平成25年[2013年]) 久地円筒分水が平賀栄治によって設置されるまでの経緯と、円筒分水の仕組みが簡潔に書かれています。 文化財登録年月日等の基本情報も掲載されています。 ◆『二ケ領用水久地円筒分水―国登録有形文化財(建造物)』 (川崎市建設緑政局道路河川整備部河川課/編 川崎市/発行 刊行年不明) 川崎市建設緑政局作成の川崎市公式パンフレット。 A4版4ページ。 位置、平面・断面図、構造、歴史など基本的事項を簡潔にまとめて掲載しています。 また同一の内容が川崎市のホームページにも掲載されており、気軽にみることができます。   ◆『かわさき文化財読本』 (川崎市教育委員会文化財課/編 川崎市教育委員会/発行 平成3年[1991年]) P100〜101に、小泉次大夫(こいずみじだゆう)による二ヶ領用水工事開始から水騒動を経て平等に水を分配する円筒分水が造られるまでの経緯が分水の仕組みとともに書かれています。    久地円筒分水のしくみ この分水装置は二ケ領本川の流れを平瀬川の下を二本の導水管で潜らせて対岸で水流を垂直に上昇、四方に溢れる水を円形の堰で受け止めます。 この円周の堰を四つの堀のそれぞれの灌漑面積に比例して分けて接続するというもので、水流・流速が一定に保たれるので円周に比例した水量が誰にでも一目でわかる仕組みとなっています。 ■溝ノ口水騒動について ◆『高津村風土記稿』 (上田恒三/著・発行 昭和55年[1980年]) 記事「溝ノ口水騒動」において、現存する当時の訴状などの文献を現代語訳で引用しながら、騒動の経緯や処分などを詳細に記述・分析しています。 さらに、差配する幕府の曖昧な対応ぶりについても鋭く切り込んでいます。 ◆『かわさき歴史ウオーク』 (前川清治/著 東京新聞出版局/発行 平成14年[2002年]) 記事「溝ノ口水騒動と久地分量樋」において、二ヶ領用水の水配分に端を発した本騒動の概要を大まかに理解することができます。 ■設計者・平賀栄治について ◆『水恩の人−多摩川治水と平賀栄治−』 (小林 孝雄/著 出版文化社/発行 平成12年[2000年]) 川崎市在住の郷土史家・小林孝雄氏が「分量樋」に代わり、後に「平賀式円筒分水装置と名付けられる「円筒分水」を考案し治水に人生を捧げた土木技師・平賀栄治の業績を平賀家に残る資料等を駆使し書き上げた労作です。 平賀栄治を知るには最適の資料です。   ◆『400年の治水―川崎・二ヶ領用水をたずねてー』 (公益財団法人はまぎん産業文化振興財団/編・発行 平成27年[2015年]) 400年にわたり二ケ領用水に携わった3人の人物(小泉次大夫、田中休愚、平賀栄治)を中心に描かれています。 平賀栄治については、物資や人手が不足する戦時中に上河原堰と宿川原堰工事を完了し、その後円筒分水を完成させた功績が分水の構造をわかりやすいイラストを交えながら書かれています。 平賀栄治の写真も掲載されたパンフレットです。 ◆『文化かわさき第31号』 (川崎市総合文化団体連絡会/編・発行 平成22年[2010年]) P34〜40に平賀栄治が円筒分水に関わる以前の農業土木技術者としての功績や円筒分水に携わる経緯が書かれており平賀が円筒分水構想を貫徹するまでの苦労や円筒分水完成後も引き続き治水に関わった生涯を詳しく知ることができます。    ◆『川崎研究第48号』 (川崎郷土研究会/編・発行 平成22年[2010年]) P5〜9に「文化かわさき31号」と同様、鈴木穆氏(NPO法人高津区文化協会会長)による平賀栄治の円筒分水に関わる功績を描いたものです。 円筒分水の全容がわかる写真や当時の二ヶ領用水石橋など貴重な写真が併せて掲載されています。 ◆『川崎市史研究第3号』 (川崎市史編さん委員会/編 川崎市公文書館/発行 平成4年[1992年]) P30〜45に『水恩の人−多摩川治水と平賀栄治−』著者小林孝雄氏が円筒分水を含む治水事業に関わった平賀栄治の功績と共に昭和49年の多摩川大水害での堤防決壊に触れ多摩川治水事業について考察しています。 図書館ホームページ・館内検索機で円筒分水の本を探すには 図書館ホームページ・蔵書検索画面で円筒分水の本を探すときは、「書名」および「件名」に次のキーワードを入れて検索してみてください。 「書名」=「円筒分水」 「件名」=「円筒分水」または「平賀栄治」 インターネットで調べるには ●川崎市教育委員会ホームページ ホーム>生涯学習・文化財>かわさきの文化財>市内文化財案内>文化財さんぽ>高津区>「円筒分水」 https://www.city.kawasaki.jp/880/page/0000000073.html ●高津区ホームページ  ホーム>高津区の魅力みどころ>高津区を歩こう>円筒分水と久地不動尊コース  https://www.city.kawasaki.jp/takatsu/page/0000091408.html ●国土交通省関東地方整備局京浜河川事務所 ホーム>多摩川>多摩川で学ぶ、遊ぶ、参加する>多摩川リバーミュージアム>多摩川の見どころ>多摩川の名脇役>8.二ヶ領用水円筒分水 https://www.ktr.mlit.go.jp/ktr_content/content/000099117.pdf 川崎市立図書館地域資料パスファインダーA 第2版 円筒分水 令和3年(2021年)3月発行 発行者:川崎市立図書館 地域資料担当者会議 【資料についての問い合わせ】 川崎市立中原図書館  電話番号:044-722-4932