川崎市立図書館 地域資料パスファインダー5 川崎ゆかりの文人岡本かの子  図書館で調べてみませんか! [岡本かの子]明治22年[1889年]〜昭和14年[1939年] 岡本かの子(大貫カノ)は明治22年(1889年)3月1日東京青山の大貫家別邸で父・寅吉、母・アイの長女として生まれ、4才から大貫本家のある二子の地で育ちました。早くから文才を示し、女学校時代には与謝野鉄幹・晶子夫妻を千駄ヶ谷に訪ね夫妻主催の新詩社に入門、新進歌人として文壇に登場します。 その後画学生・岡本一平と結婚、一児をなしてその子が後日鬼才芸術家として有名になる岡本太郎です。結婚生活は波乱万丈でしたが、苦悩の中から仏教を一心不乱に勉強し仏教著作物も著するようになります。 最終的には小説家として身を立てたいと願い、川端康成や林房雄から絶賛される小説群を続々と発表します。しかしその絶頂の中、投宿先で倒れ50歳で永眠しました。 かの子は当時の世間の常識やモラルに縛られない奔放な生活を貫き、その才能は時代を先んじるものであり、実子・岡本太郎をはじめ多くの芸術家に影響を与えました。 ★調べるための道しるべ★ 〜パスファインダーとは〜 パスファインダーとは、あるテーマを調べるために役立つ資料を、分かりやすく紹介したリーフレットのことです。 川崎市立図書館のパスファインダーでは、基本的な図書資料やインターネット上の情報源はもちろん、テーマについての簡単な解説も載せています。 探せない本や、わからないことがありましたら、お気軽に川崎市立図書館の登録・相談カウンターまでおたずねください。 図書館ホームページ・館内検索機で岡本かの子の本を探すには…  図書館ホームページ(https://www.library.city.kawasaki.jp/)・館内利用者用検索機の蔵書検索画面で本を探すときは、「著者名」又は「件名」に次のキーワードを入れて検索してみてください。 「著者名」=「岡本かの子」   「件名」=「岡本かの子」 図書館で持っている本(資料)の紹介 ■かの子の著作 古い資料の中には、閲覧・貸出に制限があるものがあります。 手軽に読みたい場合は『岡本かの子全集』(筑摩書房)が便利です。 ◆『かろきねたみ』(青鞜社/発行 大正元年[1912年])  かの子の出発点となった処女歌集です。不調の時代にあったかの子を励ますべく一平が出版をすすめ。装丁も手がけました。 口絵は一平の恩師、和田英作によるものです。幼少より親しんだ多摩川を詠んだ歌も収録されており、歌碑が高津区下野毛「多摩川せせらぎ広場」にあります。 ※ちくま文庫版岡本かの子全集9に収録されています ◆『浴身』(越山堂/発行 大正14年[1925年]) かの子の第三歌集。「中央公論」から依頼され前年に掲載された「さくら百首」収録。 この中から岡本太郎が選んだ「~水晶山に散る桜」の歌碑が高津図書館前にあります。 ※ちくま文庫版岡本かの子全集9に収録されています ◆『鶴は病みき』(信正社/発行 昭和11年[1936年]) かの子の第一短編集で、装幀もかの子自身が行いました。 作者は母性的な純真さとモデルに対する深い愛情が描かれた作品です。第六回文学界賞受賞。かの子の文壇デビュー作で、モデルは実際に交流のあった芥川龍之介とされています。 ※ちくま文庫版岡本かの子全集2に収録されています ◆『老妓抄』(中央公論社/発行 昭和14年[1939年]) 発明を志す青年と生活を共にすることにした老妓の生の豊饒への憧れと虚無。作者の文壇での評価を不動のものにした名作です。 昭和13年下半期芥川賞候補。 ※『老妓抄 改版』(新潮社 平成16年[2004年])には『東海道五十三次』『家霊』『鮨』も収録。     ■一平・太郎の書いた かの子についての著作    ◆『かの子の記』 (岡本一平/著 小学館/発行 昭和17年[1942年])  夫一平によりかの子が亡くなってから4年後に著された回顧録。 かの子が亡くなってからこの本を出す年までに、様々な雑誌などに寄稿したかの子との思い出がまとめられています。 太郎に母の死をどのように伝えるべきか思案したことや、自身が再婚したことなども記されています。 ◆『一平かの子−心に生きる凄い父母−』 (岡本太郎/著 チクマ秀版社/発行 平成7年[1995年]) 父母としての一平・かの子と、芸術家としての2人を太郎の目線から語った書。父の死後に太郎が生活を支えることになった、継母と腹違いの兄弟4人についても記されています。 本書は太郎生前最後の刊行物となりました。 ■かの子について解説した著作 ◆『岡本かの子 資料にみる愛と炎の生涯』 (入谷清久/著 多摩川新聞社/発行 平成9年[1998年]) 岡本かの子の「声」「顔」や、川端康成がかの子について指摘した「ナルシシスム」について、様々な資料を引用しながら、「かの子像」を探っていく作品です。 作家としてのかの子だけでなく、かの子の作品の編集者や、息子である太郎の話についても紹介されています。 ◆『岡本かの子研究ノート』 (久威智/著 菁柿堂/発行 平成5年[1993年])  岡本かの子の作品には三つの主題(モチーフ)「いのち」「女」「川」がある、とされています。中でも、「川」とは多摩川のことを指し、多摩川の畔で生まれたかの子が、文字通り「水の浄らかな美しい川のをとめとなった女」であると述べられています。 ◆『女性作家評伝シリーズ 岡本かの子』 (三枝和子/編 新典社/発行 平成9年[1998年])  岡本かの子の一生が詳しく描かれています。「恋愛は運命の一つである」といった言葉(フレーズ)に代表されるかの子の恋愛論に加え、遅すぎた文壇デビュー、作品が著された背景、生まれた家、家族、作品が書かれた当時の時代背景との関連性なども述べられています。 ■かの子が育った高津・二子がわかる著作 ◆『高津郷土史料集 第1篇〜第16篇』 (川崎市立高津図書館/編・発行 昭和38年〜平成6年[1963〜1994年])  高津図書館を拠点に活動していた「高津図書館友の会」会員の方々を中心に執筆された、高津の地域史料集。都市化によって消えゆく地域の面影が記録されています。 ◆『高津村風土記稿』(上田恒三/著・発行 昭和55年 [1980年])  多摩川のほとりにあるこの地に人々の営みや文化がどの様に創られたのか、地元に伝わる古文書などを丹念に調査した結果を記した大冊です。 ◆『高津物語 上・中・下』(鈴木穆/著・発行 平成16年〜27年[2004〜2015年])  地元の郷土史家・鈴木穆さんが「タウンニュース」高津区版に連載したコラムを単行本としたものです。高津に関わった人々、出来事、歴史、地誌について興味深く記されています。 この他、川崎市に関わる新聞記事について調べることができます。登録・相談カウンターへお問い合わせください。 インターネットで調べるには ●かわさきの文化財(川崎市教育委員会) ホーム>市内文化財案内>文化財さんぽ>高津区>「二子神社」(岡本かの子文学碑) http://www.city.kawasaki.jp/880/page/0000000072.html ●高津区役所ホームページ  ホーム>高津区の魅力発見>高津区を歩こう>  http://www.city.kawasaki.jp/67/67soumu/home/takatu/kanko/walk/entoubunsui.html ●岡本太郎美術館 http://www.taromuseum.jp ●神奈川県全域・東京多摩地域の地域情報紙タウンニュース ホーム>検索窓に検索ワード「岡本かの子」を入力 https://www.townnews.co.jp/ 奥付 川崎市立図書館 地域資料パスファインダー5 川崎ゆかりの文人岡本かの子  令和2年(2020年)3月発行 発行者:川崎市立図書館 地域資料担当者会議 資料についての問い合わせ 川崎市立中原図書館  電話:044-722-4932